オレが? ばかな!?
秘書:今夜は久し振りにフライで出掛けるんですね。
オレ:あぁ今夜は10年振りにフライを振るんだ。
秘書:釣れるといいですね。
オレ:ああ!釣れるさ。イメージはすでに頭の中でシュミレーション済みだ。
秘書:お疲れさまでした。久し振りの休暇ですから楽しんできて下さい。
オレ:あぁ。
仕事を終え22:45車通りの少なくなった公安道路を目的地に向けFLAT4に鞭打つオレの頭の中では、
忘れていたフライでのアプローチを思い返す事で一杯だった。
「あのテトラに乗ればフォルスキャストを邪魔する障害物は存在していなかったなはずだ。」
「リトリーブした分のライン処理は・・・問題ない!」
「もらった!」
23:40現地に着き仕度を始める。
家を出る前にガイドにラインは通してあるのですぐに準備は整うハズであった。
ロッドを繋ぎフライラインを引き出しフォルスキャストに移ろうとした時、
今まで感じた事がない違和感が・・・。
「ティップセクションがあり得ない角度で曲がっている!」
「!?まさか」
そんなはずはない。
一番事故を起こし易いフライラインとリーダーの繋ぎ目はガイドに抵抗が掛からないよう、
リールからラインを十分に出してなんの抵抗もなしにトップガイドを通したんだ!
通し終わった後も異常はなかったのは確認済みだ!
だが、愛竿のG-Loomis GLXはトップから5番目のガイドの下で力なく垂れ下がり、
ナトリウム灯の明かりに照らされ哀れな姿をさらけ出していた。
「何がおきているんだ?」
心を落ち着かせるためにわざと視界からロッドを追いやり、
セブンスターに火をつけ海面をボンヤリ眺めた。
フライを投げ入れたであろうタグボート辺りの水面に目を向けると、
あちらこちらでフィッシュイーター達がガバガバ騒がしい。
「釣りたい!絶対に何かの間違いだ!」
そう思ってもう一度ナトリウム灯に照らし出されている愛竿に目を移すが、
再び哀れな愛竿の姿を見る事となる。
「折った?」
「オレが? ばかな!?」
原因が特定できない。
まったく心当たりがない。
でも間違いではない現実が目の前に叩き付けられている。
こうして10年振りのフライ釣行はあり得ない結末で幕を閉じた。
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